免疫力とは
免疫力というのは、「からだの中の自分とは異なる『異物』を認識し、排除しようとする力」です。生き物が持っている防衛の力ですので、低下すれば感染症やがんをはじめ、さまざまな不調を引き起こします。また、免疫力の低下は、特別な病気ではなく、加齢・生活習慣・ストレスなどで起こることが確かめられています。
免疫細胞療法・手順
私たちの行う免疫細胞療法というのは、患者さまの低下してしまった免疫力を高め、患者さまの体内の異常細胞(がん細胞、ウイルス感染細胞など)を排除しようとする治療法です。
患者さまの血液中には、免疫を担うさまざまな細胞が存在しています。これらの細胞を採血によって一度からだの外に取り出し、培養することによって、免疫細胞を増殖・活性化させます。この細胞を患者さまの体内に戻すことによって、患者さまご自身の持つ「免疫力」を高めることを目的としたのが「免疫細胞療法」なのです。
免疫細胞療法の手順
- 1.採血(30~50ml)
- 2.単核球分離
- 3.免疫細胞の選択的 活性化・増殖(3週間培養)
- 4.高純度活性化免疫細胞の安全性試験
- 5.来院時に採血・点滴
免疫細胞療法の長所
治療に使う細胞は、増殖・活性化した患者さまご自身の免疫細胞です。免疫細胞療法は、以下のような長所のある副作用が少なく体にやさしい治療法なのです。
- ●外来治療が可能
- ●QOL(生活の質)の改善
- ●初期がんでも末期がんでも治療が可能
- ●転移・再発を予防
- ●痛みを緩和
- ●化学療法による副作用を軽減する可能性
免疫細胞療法はどういった時に行うのか
免疫細胞療法は、病気のさまざまな段階で行うことができます。そしてその時々で、目的とする効果が違ってきます。
たとえば、化学療法などでがんの治療をおこなっている場合、免疫細胞療法を併用し、治療効果を高めるという目的が考えられます。また、がんの手術後に免疫細胞療法を行うことによって、「取り除いたはずのがんの再発を防ぐ」といった効果も期待されています。あるいは健康な時、免疫力の増進を目的に免疫細胞療法を受けることも可能です。
免疫細胞療法は、自分自身に備わった生体の自然な防衛機構を高めることを目的にしているため、幅広い可能性がある療法なのです。
健康時
- ・自己治癒力の増強による健康増進
- ・がんやウイルス感染症の予防
手術や陽子線治療との併用
- ・がんに対する免疫力の誘導
- ・がんの再発予防
化学療法との併用
- ・相乗的作用による治療効果の増強
- ・化学療法の副作用の軽減
緩和医療との併用
- ・がんの進行遅延
- ・生活の質や病気の予後の改善